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代表・川野真理子


コラム「銀座物語」
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−銀座物語− 独立と人生は、キープラネットが発行している会報誌の巻頭に
代表の川野真理子が毎号掲載しているものをホームページに掲載しています。
※1998年創刊号から2005年39号までは「神宮物語」として配信していました。
 

2007年10月8日配信★【きぷら開運161号】★より

川野真理子のコラム「信念はあるのか?」

 19歳の息子が言った。
 「フリーターになろうかと思って。」

 ついに来たかっー、『フリーター』

 去年11月のある土曜日、彼は念願叶って一人暮らしを始めることにな
 り、赤帽さん2台に荷物を積んで、横浜に引っ越して行った。
 一人暮らしは快適で、なかなか実家には帰ってこない。帰ってきても、
 地元の仲間たちと夜中中遊んで、朝の6:00に顔出す程度だったりする。

 彼は今しっかり青春している。
 でも、もう来年の3月でミュージックスクールは卒業なのだ。

 それで、夏休みに聞いてみた。
 「学校で就職活動とかって、あるの?」と。

 冒頭の返事は、それに応えた返事なのだ。

 川「フリーターになってどうすんの。」

 息「んー、バンド活動とかやろうと思って。」

 川「バンド活動って、バンドなんかやってないんでしょ?」

 息「やってるよ。」

 川「誰と。」

 息「学校の仲間と3人で。」 ← 初耳

 川「どうやって食っていくの。」

 息「だからフリーターで。」

 川「あんたねぇ、お父さんの仕送りもなくなるし、奨学金を貰うどころ
    か、返していかないといけないんだよ。生活するだけで精一杯で、
    バンドなんてやってたら、生活できなくなっちゃうんじゃないの?」

 と、かなり前向きでない発言をした。
 他人の子どもの相談なら、こんな言い方はしないのにねぇー。

 そして、夏休みが終わる頃、私は言った。

 川「頭からフリーターはダメだとは言わないけれど、今あんたは親の
    すねかじりなんだから、卒業後、どうするつもりなのか、親に報
    告する義務があるからね。フリーターが社会の中でどんなに不利
    か、基本知識を学んだ上で選択するなら反対はしないから。」

 川「職業を考えるときの先輩のプロを2人紹介するから、じっくり話
    を聞いて、それから、卒業後をどうするか親に報告しなさい。そ
    ういう基本的な知識も聞こうとしないで、フリーターやるという
    なら賛成できない。」

 というわけで、本人も聞いてみようという気になったのだろう。
 ニートや若者のキャリア教育に力を入れているNPOの若者に、謝礼を
 払って個人面談をしてもらった。

 さらに、ベテランのキャリアの先生のカウンセリングを受けさせた。
 私のメンターの先生である。

 先生は、「川野さん、あの子は大丈夫ですよ。川野さんが作ったもの
 の中では最高の作品ですよ! ちゃんと親に話してごらんと伝えてあ
 るので、聞いてあげてください」と笑った。

 数日後、行きつけの美容院で
 「今日は彼がどういうつもりなのかをきく、元家族会議なのよ。」と
 オーナーに話した。

 するとオーナーのは
 「へぇー、わぁー怖わー。僕、川野さんちの子どもじゃなくてよかっ
  たー。好きなことやらせればいいじゃないですか。川野さん、起業
  支援してるんでしょ。」だと。(^^;)

 我ながら可笑しかった。「親は親になると違うのよ〜。何も就職しろ
 と言ってるわけじゃないのよ。でも、やりたいことがわからない状態
 で、フリーターやる位なら、ちゃんと就職して、キャリアを積んでい
 く中で、やりたいことを見つけていけばいいじゃないかと思うのよ。

 人は親になった途端に、まっとうになっちゃうのよ。
 「チャレンジなんて、どっかに行っちゃうのよぉ〜。」てな感じで、
 爆笑してしまった。

 「川野さん、ご自分はこれから50歳のチャレンジだって言ってるじゃ
 ないですか。息子さん、まだ19歳なんでしょ。」って言われてもね。
 (笑)

 本当に、親と言うのは、可笑しいものである。

 子どもの職業選択の第一歩で、親が手も貸さない、知恵も貸さない、
 をやりたいのかも知らない、どうするつもりなのかも聞かないで、
 はい、生活費はもう出しませんよ。自分で好きなことをやりなさいな
 んて、そんなことは絶対に私には出来ないし、それじゃ親としては普
 通じゃないと思うのよね。

 この私は、今、好きなことをして生きているけれど、親としては、
 これでも結構普通なんだなー。(^^;)

 自分が18歳で田舎の高校を卒業して上京してからは、東京のアパート
 探しも、バイト先も、専門学校探しも、就職先も、何もかも一人でや
 ってきた。礼儀も常識も何もないままに、ぽーんと、社会に出てしま
 ったので、しなくてよい失敗や、失礼なこともたくさんした。

 だから、最低限の、人とのつきあい方やマナー、こういうときはどう
 すればいいのか、判断材料となることだけは教えてあげたいと思うの
 だ。
 それと、もう一つは、親としての価値観、生きていく上で、何を一番
 大切に思って生きているか、親の譲れない“人”としての価値観を伝
 えたいとよく思うのだ。

 誰がなんと言っても、これをやりたい、音楽の道でやって行く! 
 どんなにつらくても構わない! 応援してほしい、家賃を出してほし
 い! と、親を説得する位ならバッチリよ。遠慮なんかしなくて構わ
 ないよ。

 でも、「なんとなくフリーター」程度のフリーターではダメなのよ。

 子どもを信じるということは、子どもの判断を信じるということだか
 ら、判断に必要な材料を与えた上で、子どもに判断させたいと思う。
 と言うわけで、さてさて、元家族会議をやりました。

 その結果は?

 「先生、あのー、あの子のどこが最高作品なんでしょうか。何が絶対
  大丈夫なんでしょうか?」そう聞きました。

 すると先生は言いました。

 「川野さん、自分の意見をいわないで、ちゃんと聞いてあげてくださ
  い。ただじっと、彼の言葉を聞いてください。親が言い過ぎてはだめ
  です。」と、まるで見ていたかのようなことをおっしゃるのでした。
  (^^;) 

 はい、傾聴、苦手なんです。

 だから、もう一度、じっくり母子会議をすることになりました。
 でも、どこか嬉しかったりして。(笑)

 頼むから、誰がなんと言おうと、「僕はこれをやってみたいから力を
 貸してほしい! 」と、親を説得するくらいの信念を、ポケットに入
 れて持ってきなさいよ! 

 かわいい息子よ!

  キープラネット代表 川野真理子
http://www.keyplanet.com/kawano/index.html
 
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