■ 〜息子の話〜 朝ご飯の残りものを弁当に詰めていたら、息子が言った。
「ふざけた弁当だなぁ」
思わず、ブッと吹く私。
「コロッケ弁当って呼んでよ。」
「そんなもんは、コロッケ弁当って言わねぇょ。」
そうか、コロッケ1個しか入ってないのは弁当とは呼ばないのね。(笑)
それ以来、事務所では「あたし、今日弁当もってきたんだけど、ふざけてんのよ。」
「あ、あたしも今日ふざけてるの。」
てな会話になっている。
忙しくて煮える前のタマネギを出したら「俺は、もうちょっとやる気のねぇタマネギの方が好きだ。」と言ったりする。
やる気のねぇタマネギ ねぇ・・・
なかなかいい表現だなぁと思う。
まずい料理を出すと、まずいと言わない。
「ごめん、これは俺の口に合わない。」とか言っちゃう。
親が優しいと、子どもまでこんなに優しくてよい子になるのね。(爆)
ある日の夜。
「母さん、神様っていると思う?」
「ん? 神様? いるよ。いると思うよ。なんで?」
「いるなら、ちょっとお礼でも言ってみようかなと思って・・・」
「あぁ、そうか。言っときなよ。言っといた方がいいね。神様もきっと喜ぶよ。」
そうなのだ、このごろ、彼にはずっといいことが続いている。
1つは、
音楽の道で生きていく! とか言っちゃって、専門学校に受かった。
でも、親は、息子が勉強をしないおかげで学校に2度も呼ばれたけど。
2つめは、
居酒屋でバイトをさせてくれと言って、ずっと反対していたのだがついに、ここの店でやりたいからと、私を連れて行き説得した。
それでも「夜のバイトはダメ、なんで居酒屋なの?」と聞く私に、彼は言った。
「俺、まかないのあるところでバイトしたいんだよ。」
胸が切なかった。親がいつも遅いために、彼は自分で晩ご飯を作って食べなければならなかったから。
「じゃあ、あなたのお父さんに聞いて、お父さんがいいって言ったらいいことにしよう。」ということで、別れて暮らしているお父さんに責任をおっかぶせた。
お父さんは、渋々OKを出した。
そして、面接をして、受かった。
3つめは、
なんと、初めて彼女ができた!
こんないいことづくめで、彼は今すっごくいいカンジだ。
子どもが幸せそうなのはいいな〜。
子どももきっと、親が幸せそうにしているのを見てるのはいいカンジなんだろうな〜と思った。私もニコニコしていよう! と思った。
「あんたが、俺のために好きな仕事を諦めたなんて、俺が大きくなってから言ったら、許さねぇからな。」
「ごめん、本当にごめん。あんたのために仕事を諦めなかった。自分のやりたいことをやり続けてしまって、ごめん。」
高校3年の息子と、そんな会話をするようになった。
停学処分も終え、反抗期も越えて、彼は大人になってきた。
もし、この息子が無惨な形で殺されてしまったら、狂ってしまうかもしれない。
どうか、どうか、今週、先週と立て続けに起こった小さな女の子たちの悲しい事件が、もう起こることがありませんように。
これ以上、親に悔しくて悲しくて不安で、やりきれない思いをさせないでください。
どうか、神様、子どもたちを残虐な行為からお守りください。
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