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佐川博樹さん |
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『会社を辞めた夜に』 |
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“お客様に笑顔でありがとうといわれるコンサルタント”を目指す! 「34歳の出会い」がなければ今の自分はいません。その34歳の出会い とは?「きっかけを提供する」「情報を提供する」「元気を提供する」 この3つが揃ってこそコンサルの仕事です。と言い切る佐川博樹氏。 仕事に対する愛・喜び・努力について お話を聞いてきました。
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Q |
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まずはじめに、佐川さんの仕事内容を教えてください。 |
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A |
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主要業務は、中小企業の経営者の方と一緒に、事業を考え直したり、事業を開発したりする仕事です。外部の目から見て、現在の事業の状況がどうなのかや、新事業がどう見えるのかなどをコメントしたり、方向性をアドバイスしたりします。
その業務のほかに、それに必要な教育研修を企画したり、講師をしたりしています。昨年はその経験を活かして本を1冊出しました。
【よくわかる最新システム開発者のための要求定義の基本と仕組み】 〜図解入門〜 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798011223/kaits-22
ちなみに、売り上げの目標割合は、中小企業経営者の方への支援が4割、研修講師などが4割、残りが2割というバランスです。このバランスを目指しているのは、相乗効果をねらうためです。
中小企業経営者の方への支援を行うことで、研修で事例紹介ができますし、研修講師をすることによって、いろいろな人に会い、さまざまな考え方に触れることができますので、これをまたフィードバックして実地の支援に役立てることができるのです。
飽きっぽい性格の私でも両方やっていれば、飽きないですしね(^^) |
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Q |
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それはどういう職種にあてはまりますか? |
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A |
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私自身は“コンサルタント”という言葉はあまり好きじゃないんです。 なんでかというと、ニュースに出てくる“コンサルタント”って怪しいことばかりしていますからね。でも、強いて言えば、やっぱり職種としては“経営コンサルタント”ということになるんでしょうね。
私自身は、「きっかけ」「情報」「元気」を提供する。この3つが揃ってこその職種だと考えています。 |
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Q |
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あなたの仕事を家電や、調理器具に例えると、どんなものにあてはまりますか? |
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A |
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そうだなぁ。テレビか、ラジオ。または、インターネットにつながったパソコンかな。
職種のところでお話しした通り、こうした情報機器というのは、情報を提供することによって、きっかけを与えたり、元気を授けたりするじゃないですか。だから、テレビかもしれません。
ただし、全く違うところもあります。それは、その相手に合わせてオーダーメイドすることです。マス向けじゃなくて、ピンポイントで目の前にいるその人、その企業に向けて「きっかけ」「情報」「元気」を提供していくところですね。 |
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Q |
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本業とは関係のない異業種とのつながりはありますか?
それはどんな業種でしょうか? |
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A |
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異業種とのお付き合いが仕事ですからねぇ。関係のない異業種というのがないんですよねぇ。全ての異業種が私のお客様で、本業と関係のない業種というのはありません。
但し、今お付き合いの多い業種というのは、お話しできます。小売業、商店街をはじめとして、卸売業、商社などの流通関係、情報システム 開発業や一部、製造業もありますね。あと、業界団体とか、行政機関などともお付き合いがあります。
いずれにしても、私の基本である経営と情報システムのつながりの部分の仕事が中心で、業種の縦割りというよりは、情報システムや経営アドバイスといった横串での事業なんです。 |
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Q |
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そのつながりによって、延びた部門は?またやめた部門は? |
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A |
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伸びた部門は講師業ですね。
一度、話をさせてもらうとまた依頼がくるんです。だから、新しいところが入ってきても昔のところが辞められない。リピートされるので。なので、必然的にここが伸びます。
経営をテーマにした講義は継続的にやる場合と、単発でやる場合とがあり、継続的なものは期間が延びることはあっても、報酬が高くなることはなかなかないですね。単発ものは余計です。価値を認めてもらうまでに時間がかかりますからね。でも経営ものは絶対に辞めたくないんです。
理由は、それが僕のビジョンだからです。 |
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Q |
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今の仕事をはじめた最初のきっかけは? |
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A |
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大企業に勤めていたのですが、そのときに中小の情報システム会社の社長などとよく話をすることがありました。彼らの話を聞いていると、大企業の部長なんかよりずっとすごいことをしているわけです。
だって、いわゆる経営の一般から、資金繰り、従業員の採用、給与の計算、そして仕事そのものまで、全部やっているんですから。そういう人を助ける仕事ってあるのかなぁ、と漠然と思ってました。
ある時、その大企業内にいた「中小企業診断士」の方にお会いして、どんな資格なのかをいろいろ聞きました。おもしろそうな仕事だなぁと思って聞いていたし、その方も仕事ができる人だったので、これはと思って勉強をはじめたんですね。
比較的時間が自由に使える部門に異動させられていたこともあって、1年で合格。その後、中小企業診断士の協会などで4年間ボランティ ア活動(協会の仕事ですね)などをしました。そして、転機が来ます。
34歳の冬でした。協会の下部組織にあたるあるグループの忘年会に行ったときです。目の前に座った先生(私たちは中小企業診断士の方々をこう呼びます)が
“38歳独立100%成功説”
というのを持っていらっしゃいまして、その話を聞きました。漠然と あと4年あるなぁなどと考えていました。
帰り際、その忘年会会場から出る数段の階段を下りるそのとき、その先生は振り返ってこう言いました。
「たぶん、佐川君なら2〜3年早くても大丈夫だよ」
大企業を辞めたきっかけはあれだったと思いますね。今でもその先生とはお付き合いがあり、本当にお世話になっています。 |
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Q |
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大企業を辞めて独立・・・不安はありませんでしたか? |
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A |
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会社を辞めた日、一応、円満退社という形でしたので(というか、本当に円満退社)、同僚が飲みに連れて行ってくれました。しかし、2次会、3次会と進むにつれ、ずいぶんと遅くなってしまいました。確か私の記憶では、翌日の午前2時くらいになってしまったと記憶しています。
電車はありませんでしたので、同じ方向の同僚と同乗してタクシーで帰ることになったのです。帰りのタクシーの中では楽しい話をしていたのですが、いざ、タクシーの自動ドアが開いて、降りる瞬間、次の言葉が頭をよぎりました。
「妻は家にいるのだろうか。子どもを連れて実家に帰ったのではないか。」と。
独立に言葉では賛成していたものの、やっぱりいざ、会社を辞めるとなれば、生活は不安だろうし、実際収入も安定しないはず。そう改めて思ったら、やっぱり妻は実家に逃げ帰っているのではないかと。そう思ってしまったのです。
そんな不安を抱えながら、家まで歩いて2〜3分くらいのところでタクシーを降り、家までの道のり、本当に肩を落とすというのはああいう状態を言うんだろうなぁと思います。
実際には、家に帰ってみると、妻は起きて待っててくれてました。うちの妻は、普段、すごく早寝で午後10時以前に寝ることが多いです。でもこの日は起きて待っていた。そして、「お疲れ様でした。」と私に声をかけてくれました。
「辞めちゃったよ」という言葉とともに、思わず涙がこぼれました。
今でもこの話を思い出すと、人前でも涙がにじみます。
私の独立人生は「独」立ではなく、妻と子どもたち、つまり家族と一緒に立つ人生そのものになった瞬間でした。 |
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Q |
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起業された当初と今の業界の移り変わりは? |
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A |
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中小企業診断士を受験する人が増えたことと、受験者層が若くなってきたことでしょうか。私が受験したときには、30代だとすごい若手だったのですが、今では20代で受験される人もごろごろいますからね。
ただ、個人的にはまだ日本という国が若い人のコンサルタントを望んでいないように思います。私もまだまだ大して白髪も入っていませんから、中小企業の経営者に言わせると若造です。確かに、一面では経験が足りないのも事実です。
ですから、20代で会社を辞めて独立して、コンサルタントとして成功している人というのは少ないようです。前に出てきた先生も、若すぎず、老いすぎずの38が良いのだとおっしゃっていましたが、今になってみると、そういうことかと思います。
でも、だんだんと起業する側も若くなってきたりしていますから、専門性を発揮するという意味では年齢は関係なくなるんじゃないかな、と私は思っています。
私が若いうちにそれがくるかは別問題ですけどね。 |
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Q |
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今の仕事を辞めようと思ったことはありますか? |
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独立して3年少しになりますけど、一度もありません。恥ずかしい思いをしたときはたくさんありますけど、それが仕事を辞めたいという気持ちのきっかけにはなっていません。
会社にいたときのようなストレスはありませんし、体の調子が少しくらい悪くてもお客さんの前に出てしまえば、そっちに集中して体の調子のことを忘れてしまうほど、この仕事が好きなんですね。だから、今の仕事を辞める理由がないんです。 |
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Q |
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あなたの仕事上の夢は? |
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A |
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自分の部屋に貼ってあるBSC(バランススコアカード)もどきで話すと、ビジョンがあります。これが、今の夢ですね。
“お客様に笑顔でありがとうといわれるコンサルタント”
です。コンサルタントは好きではないといいながら、ここにはそう書いてあります。コンサルタントという言葉を良いイメージにしたいという希望も含まれています。
「笑顔で」というところがポイントです。
笑顔でない「ありがとう」はきっと自分の価値をきちんと提供できなかった、または自分の価値が相手の要求していたレベルよりも低かったかのどちらかなんだろうと思うのです。 |
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Q |
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あなた個人の夢は? |
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A |
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二人の子どもを育て上げ、妻と二人で田舎で暮らすことですかね。
ただ、自分自身は死ぬまで仕事から離れないだろうなぁと思っています。子どもたちは、どのレベルの学校まで行くかわかりませんが、23歳になる春(つまり、ストレートに行けば大学を出て就職する4月)になったら、家に入れないと言ってあります。まだ、7歳と5歳ですけどね。
彼らには彼らの人生があるから、それを親の世間体とかで制限したくないというのもあって、家に入れないと言ってあります。ただ、もちろん、彼らが悩んだときにはコンサルティングマインドを持って接しますよ、もちろん、そのときは愛情が一番に来ますけどね。 |
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---[DATA]------------------------------ 中小企業診断士 システムアナリスト
佐川 博樹
会社所在地:〒191-0052 東京都日野市
キープラネット入会:2003年1月
●出身地 :東京都
●独立年月:2003年7月
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