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小豆佳代さん
  小豆佳代さん 『兵庫の片田舎より』
 ※この記事は2007年2月28日配信のメルマガ『きぷら』に掲載されたものです。
    一軒一軒の生産農家の畑をたずね「兵庫県丹波篠山のこだわり野菜」を新鮮なうちに届けたい。大好きなものだから売りたい。そんな産地直送ネット通販サイトを立ち上げて3年半。まだまだ広がる大きな夢に向って着実に一歩ずつ歩んでいる小豆(あずき)氏にお話を伺いました。
(インタビュアー:祢津順子)
     
  小豆さんが今の仕事をはじめられたきっかけは?
     
  広告デザイナーとして20代後半まで仕事をしていましたが、なんとなく行き詰まりを感じていまして、退職。その後入社した楽天市場内の某・オンラインショップでネットショップ運営というお仕事に初めて出会いました。これが、ものすごく面白かったのです

個人レベルの規模でもやり方次第で大手と渡り合えることや、エンドユーザーからの反響を直接実感できること。

そして何より、これまでの自分の経験やスキルを最大限に活かせると確信し、商材さえあればいつか自分でやってみたいと思っていました。

そこへある日、仕事の都合で兵庫県・丹波篠山に出入りすることの多かった父からの提案がありました。

「丹波篠山に、こだわりの農産物を農協などに安く卸すことなく自分で売りたいと言ってる農家がいる。紹介してあげるから、一緒にやってみたら?」

丹波篠山といえば、黒豆や丹波栗などのブランド産品の宝庫でネットを使った産直販売にはうってつけの商材ばかりです。

私は迷うことなく、ふたつ返事で独立を決心しました。
在職していたオンラインショップで前月比500%増、月1000万円の売上を経験した直後、退職しました。
     
  小豆(あずき)さんのお名前珍しいですね。
お名前で得したこと、損したことはありますか?
     
  苗字を英訳した屋号「レッドビーンズ」にしたのは、せっかくの珍しい苗字を活かしたいと思ってのことですが、実際に黒豆や大納言小豆を取扱っているので、あまりにも商売にハマり過ぎて誤解をまねくこともあります。

たまに、ネットショップをご利用のお客様よりクレームのメールをお受けすることもあります。その際のこちらからの回答メールに対して「クレーム対応にまでニックネームを使うとは何事だ!」と輪をかけてお怒りを買ってしまったことがあります。

もちろん、本名なんですとご説明させていただきましたが、それ以降サイト上の会社概要の代表者名の横には「※本名です」と異例の書き添えをするようになりました(笑)

ただ、このようにトラブルになる例はごくまれで、初めてお会いした方にも覚えていただきやすかったり、出会い頭の話の糸口になったりと、メリットに感じることが多いです。

「この仕事をするために生まれてきたような名前ですね!」と感心されることも多く、起業前には疎ましかった珍名が、起業以降、誇らしく思えるようになったのが自分でも面白いです。
     
  「レッドビーンズ」誕生の経緯を教えてください。
     
  父が紹介してくれた生産農家の方から「せっかくこだわっておいしい野菜作ってもよー、市場に出すと下手な野菜も何〜もかも同じ価格で買い取りよる。それが困ったもんやわ」という話を聞きました。

また「独自のルート」でお客様へ直売できるのなら、本当に野菜の品質や安全性を保証できるし、自分たちの努力に見合った価格で取引きすることも可能だし、農協や市場を通さないことで余分なマージンをカットできるのでお客様側にもメリットがあるんじゃないのか……

そして何より、収穫してすぐの野菜を、とても新鮮な状態でお客様の手元にお届けできるのに……

と生産農家の方々は日々思案していたのです。

でも「独自のルート」を構築することが難しかったんです。

畑の横で直売をやったとしてもこの篠山では来てくれるお客さんの数はたかが知れています。

そこで、パソコンを使うことのできない生産農家の方々に代わって、私が特産品をはじめとする、こだわりの農産物を産地直送するネットショップを立ち上げることになりました。

こうしてオープンしたのが「レッドビーンズ」です。父からの紹介で2軒の契約農家からスタートしましたが、現在では生産農家の方々の口コミで17軒に増えました。
     
  お仕事内容(業務内容)を教えてください。
     
  主には、ネット通販サイトの運営
丹波篠山産の安全志向のこだわり野菜を産直販売しています。

http://www.redbeans.jp/ 丹波篠山の野菜を産地直送

さらに、仕事がら生産農家との距離が密接で、日々の困りごとが直接耳に入ってくるため、インターネットを使って色んな角度で農業支援する活動もしています。

例えば、生産農家の後継者を探したり、逆に、生産農家を紹介してほしいという新規就農希望者と生産農家との橋渡しをしたり…などです。

私は野菜ソムリエなどの資格も持っておりませんし、特別な立場の人間でもありません。

その分をカバーして余りあるよう、

- 農場や生産者のもとをまめに訪れ、
- 野菜の生育状況や栽培方法、病気や害虫の発生に対する生産者のご苦労を“とにかく自分の目で見聞きし、感じとり、確かめること”をモットーに、
- 責任をもって間違いのない野菜選びをできるよう、

日々勉強を重ねております。
     
  産地直売のネットショップって結構ありますが、同業他社にない、強みはなんでしょうか?
     
  レッドビーンズは、仕入れ先や取扱い商品をやみくもに増やすことはせず、ほぼ、信頼できる生産農家の紹介のみで増やしてきました。

「うちの野菜は安全でおいしい」というのはどの生産農家もおっしゃることですが、私は隣近所で同じように農作業をしている方の目線が最もシビアな選択眼になると考えています。農薬散布の方法や野菜づくりの技術、また生産者自身の人柄などを直近でご覧になっているわけですから。

つまり、そのシビアな生産農家のお墨付きがまずあり、そこから農産物をピックアップし、販売していますので品質の確かさには自信をもってご提供させていただいています。また、普段は個々の生産農家と当店との取引ですが、お客様からの急な大量出荷のご要望があったときなどにも生産農家同士の心強い人的ネットワークにより対応しやすい状況が作られています。

農村部の方と良好なお付き合いを続けるには、たとえそれがビジネスパートナーとしてのお付き合いであってもまずは「人として信頼を得ること」が第一であると思います。

「どれだけ儲かります」「うちは○○の実績があります」と業績を前面に出して提携の話を持ちかけてくる同業他社も多くあるという話を聞きますが、それらを突っぱねても、まだまだ規模の小さいレッドビーンズとお付き合い頂けるのは、足しげく畑へ出掛けてコミュニケーションをとってきた成果かもしれないと感じています。
     
  今の仕事を「辞めよう」「辞めたい」と思われたことはありますか?
それはどんなときだったのでしょうか?
     
  「辞めよう」というところまでは考えたことがないですが、むなしく思ったのは、生産農家の理解が得られていないと感じたときです。

生産農家の手取りが少しでも増え、努力が報われればとの思いでショップを運営しているところに「儲けさせてやってる」「あんたは売ってるだけやんか」と、販売側の労力を軽んじたようなことを言われて、自分とショップの存在意義について真剣に悩んだことがありました
     
  その時に辞めなかった理由は?
     
  その言葉の裏にはやはり生産農家側の血のにじむ苦労があるんですよね。それが一般消費者になかなか理解されないことが、彼らの慢性的な不満となって、先のような言葉になって私に向けられるのだと考えると、私が役に立てることはまだまだありそうだと思い、気を取り直しました

また、コミュニケーション不足を反省すべき部分もありましたので、お互いに理解を深めて、納得のいく運営をすればいいとも考えました。
     
  貴方のお仕事上の夢はなんですか?
その夢を叶えるために何かはじめられていますか?
     
  ネットショップ運営は手段であり、目的は「生産者と消費者の距離を縮めること」だということに運営しているうちに行き着きました。

そのために、ショップを運営する中で生産農家の生の言葉を、お客様にお伝えすること、また、お客様からの喜びのメールをそのまま印刷して生産農家に手渡す、ということをやっています。でもゆくゆくは個々の生産農家が販売能力をもち、私のような者が間に入らなくても消費者と直接やり取りできるようになるのが理想だと考えています。

そこへ向けた活動のひとつとして、今年に入ってから「野菜畑なび」という生産農家検索サイトを立ち上げました。

http://www.831navi.jp/「野菜畑なび」
(4月1日正式オープン・只今生産農家さん募集中です)

インターネットを使って情報発信をしたい生産農家と、生産農家と直接取引をしたい一般消費者・企業様などをつなぐことがこのサイトの目的で、これが両者の距離を縮めることの助けになればと思っています。
     
  「この仕事をやっていて良かった!」と思われた出来事(エピソード)はありますか。
     
  取り扱っているトマトが、当ショップがきっかけでテレビの取材を受けたこと。ショップへの反響も大きかったですが、それよりも、生産農家が自分の出演している放送を録画して親戚と一緒に見たとか、知人から電話がかかってきたーなどと嬉しそうに話しているのを見て、こういうのを「報われる」というのかなぁと感激しました。

あとは、日常的なことですが収穫したての新鮮な野菜をよく頂けることです。(笑)なかなかない贅沢をさせていただいていると思っています。
     
  最後に、後輩起業家にむけて アドバイスやメッセージをいただけますか。
     
  何をして収入を得ようか……ということよりも、何かひとつでも「これを成し遂げよう」という事業目的をもっていればそれに向かうための道筋として、新しい事業展開や方法が自然に出てくるものと思います。また事業内容にブレがなく、力強いものに育てることができると思います。

成し遂げたい思いが強ければ強いほどピンチのときにも投げ出さず、しぶとく持続することができるのでは、と。思います。

私は起業して3年半になりましたが「起業した後も、事業目的をいつも心に留めておく」というのを心がけています。
     
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RedBeans 代表 小豆佳代〈アズキ カヨ〉
【篠山事業所】〒 669-2414 兵庫県篠山市
【稲美事業所】〒 675-1115 兵庫県加古郡
e-mail : az@redbeans.jp
丹波篠山の野菜を産地直送
URL   : http://www.redbeans.jp/
〈new!〉野菜畑なび(4月1日OPEN予定)
URL   :http://www.831navi.jp/

キープラネット入会:2007年2月
●出身地 :兵庫県
●独立年月:2003年9月
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