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阿川 道仁さん
  阿川 道仁さん 『私が歩んだこの10年 -Part1-』
※この記事は2007年10月24日配信のメルマガ『きぷら』に掲載されたものです。
   

 さまざまな業界・業種で起業しているキープラネット会員さんたちの
 現状・お仕事事情・夢を取材してきた「起努愛楽」シリーズ

 キープラネットも10周年を迎え、同い年の会社を経営されている会員
 さん、きぷら編集部の編集長でもある株式会社アクセント代表取締役
 阿川道仁さんに、この10年間を振り返っていただきました。

(インタビュアー:佐々木 直子)

     
  貴方のお仕事内容(業務内容)を教えてください。
     
 

本業はWebサイトの企画・制作です。
 
そして、ただWebサイトを作るだけではなく、自社開発したアクセス
ログ解析ツール“LogChaser(ログチェイサー)”を使い、そのWeb
サイトがどのように見られているのか、ビジター(閲覧者)の動き
や傾向を分析し、コンサルも行っています

閲覧者がそのサイトのどのページから入ってきて、どのような順番で
ページを見ていったか、どのページで帰ったのか、そのほか、どのよ
うな検索ワードでそのサイトに辿りついたのか、各ページが何秒くら
い見られていたのかなどもわかります。

いろいろなサイトの解析をすると、閲覧者の心理なども少しわかるの
で面白いですよ。ホームページを出している側が「見て欲しい」と力
を入れているページが実はあまり見られていなくて、そうではないペ
ージのほうが見られている、といった制作側とビジター側のギャップ
もあって面白いです。

     
  会社の規模はどのくらいですか?
     
 

当初は資本金300万円の有限会社、スタッフ4人でスタートしました。
2003年に増資し、株式会社にしました。現在スタッフは8人います。

     
  開業されてから今までで一番辛かった(大変だった)ことは何ですか?
     
 

「会社存続の危機」が、大きいものでは3回ありました。

1回目は設立当初です。
自分も含め、スタッフ4人分の給与を、計算では月々の売上でなんと
かやっていける予定でした。しかし、給与の支払いは売上を回収する
前にしなければならなかったので、あっと言う間に資本金をくいつぶ
し、資金ショートとなりました。このころは、開業1年未満なので銀
行も融資をしてくれず、生命保険の払戻金を担保に借りたり、親や親
戚から融通してもらったり、全部で100万円程度の借金をしてなんとか
持ちこたえました。

回収のタイミングやキャッシュフローのことなどわかっていたつもり
でしたが、駄目でした。

2回目は設立4年目
非常に好調なときに社員を一気に増やしたことが失敗でした。
「このまま勢いに乗って」と強気な判断が裏目にでました。このとき
は、残業代カット、自分の給与もカット、社員とのコミュニケーショ
ンを増やし不満や意見を吸い上げる。そして、 LogChaser の立ち上
げなどでなんとか乗り切ることができました。その後、利益もあがり、
カットしていた残業代も払うことができました。

これらのことは、「きぷら 開運092号」で詳しく書いています。
http://blog.mag2.com/m/log/0000025431/90954323.html

そして3回目の危機は2年前。8期目後半から9期目にかけてです。

開発と営業を担当していた社員二人が同時期に会社を辞めることにな
りました。そのうちの一人は社員の中でもリーダー的存在で、社員か
らも慕われていたし、設立メンバーの一人でもあり、私の右腕でした。

二人が同じ時期に辞めることになったのは、示し合わせた訳ではなく、
たまたま二人とも「違う職場を経験するために転職するには、年齢的
に今がぎりぎり」という思いだったようです。

二人減ったことで、営業力・開発のキャパが落ちました。

これは当然なのですが、営業というのはその担当者が退社してから売
上が減るのではないんです。退社する、と決めたときから、新規の仕
事を取ってこなくなります。なので、担当者が退社する前から会社の
売上は落ち始めました。

また「○○さんが、辞めるなら・・・」と連鎖して、退社する社員が
出てくることも充分予想ができました。私や社員が頼りにしていた人
が辞めるということで、会社の将来が不安になるということもあった
と思います。

ここでしたことは、社員一人一人とじっくり話したことです。
「絶対にやっていける」と話ました。
また、改めてみんなの不満や意見を吸い上げ、できることは改善して
いきました。

営業には、昔からの知人が入社してくれて、大活躍してくれました。
これは今でも続いています。

開発者は現在も募集中です。

     
  10年間続けられた理由は何でしょうか?
     
 

来年の5月で満10年なので、現時点では10期目の途中です。
まだ10年間続けられたとは言えませんが、よほどのことがない限り、
来年の5月までは持つでしょう(笑)

でも油断大敵、10周年を迎えられるように頑張ります。

ここまで続けて来られた理由を考えてみると、

1)周囲が支えてくれたこと

月並みですが、社員・お客様・家族・友人が支えてくれました。
前述のように、社員とも途中いろいろとありましたが、残ってくれた
社員は、なんだかんだ言っても協力してくれました。

2)軌道修正できたこと

大きなものでも3回危機があったように、経営者として足りないこと
が多々ありました。それは単に仕事のやり方ということから、人・社
員との付き合い方まで。

それをその都度反省して、自分を変えて来られたと思います。
まだまだ変化していかなければならないことは沢山あると思いますが、
柔軟に自分を変えていきたいと思います。

3)お客様を大事にしてきたこと

仕事のやり方としては、お客様を大事にして、リピーターになって
もらえるように、努力してきたこと。

4)「強み」を持ったこと

もっとも大きかったのは、「強み」を持ったことでしょうか。
この「強み」があったために、価格競争に巻き込まれずにすんだと思
います。

5)胃が丈夫だったこと

最後に付け足しですが、胃が丈夫だったこと(笑)

これは性格が図々しいということかもしれません。
これがなかったら、悩みや逆境でのストレスで胃潰瘍になっていると
思います。

自分は経営者としての資質はあまり無いと思っていますが、この胃の
強さだけは自慢です。
どんなときでも食欲は落ちません(笑)

     
  御社の「強み」とは何ですか?
     
 

立ち上げ当初は「デザインもシステム開発も両方できること」でした

ただ、これは時代の経過とともに「強み」にならなくなってきました。
そこで、前述のログ解析ソフトを開発しました。
それからは、「Web
サイトの見られ方をわかっている会社が、 Webサイトを作っています」
ということをアピールしました。

実際、いろいろなサイトの解析をしていると、どのようなサイトが効
果がでるのか、少しずつわかってきます。これは面白いですよ。

それまで「これが良かろう」と思っていたことが本当に良いのか、
「こうしたほうが良いのではないか」ということがわかります。

そして、解析を通して得たノウハウを制作や提案に活かします。

これらは、お客様にとっても、Webサイトの効果がでやすくなります
ので、喜ばれています。

     
  「強み」って大切ですよね
     
 

私たちはお客様のホームページを作るとき、それを作る目的とともに
「御社の強みは何ですか?」とお客様に必ず尋ねています。

現在はインターネットを利用して簡単に情報収集できる時代です。
キーワードを入力し、そのサービスを提供できる会社を検索するとき、
お客様のサイトだけヒットされれば良いのですが、同業他社のサイト
も当然出てきます。つまり、多くの人に情報は見てもらいやすくなっ
たけれど、それと同時に同業他社と比較もされやすくなっています。

そんなとき、その会社の「強み」をアピールすることは、とても重要
なのです。同業他社にはない、その会社だけの「強み」ですね。

このように「強み」は何かを聞くと、

「誠心誠意、お客様のために・・・」とか、「お客様の立場に立って、
一生懸命・・・」とか言われることがあります。これでは駄目なんで
すね。誰でも言えることですから。

「美味しいラーメン」とラーメン屋の看板に書いてあってもお客さん
は誰も本気にしないのと同じです。例えば「○○(超人気店)で×年
修行した」とか「材料にこだわり、◇▽産の□□を使っている」とか
「チャーシューは△日間かけ□□しています」とか。もちろん、実際
に食べてみなければ味はわかりませんが、食べてみようかな、と思わ
せる一つの判断材料になります。

このように相手がその店の良し悪しを判断するための具体的な事実や、
訴求ポイント、それが「強み」です
。それを出していかないと駄目だ
と思っています。

前述のように、「誠心誠意・・・」ということしか出てこない会社で
も、良く聞き出せば必ず「強み」の1つ・2つ持っているんです。

「強み」が無ければ今のご時世、会社を続けて行くことは難しいです
からね。気がついていないだけなんです。

そんなときは「目の前にあなたの会社とライバル会社と、どちらに発
注しようか悩んでいる人がいたらどうします? ライバル会社より、
自分の会社に頼んだ方が良いと言いたいですよね? そのときはどの
ような言葉で説得しますか?」等と聞いてみます。

「強み」を引き出すのも仕事のうちだと思っています。

     
  設立してから今までを振り返って反省点はありますか?
     
 

もっと成長できたと思います

会社を大きくすることが目標ではありませんが、30人位の会社にして、
3チーム編成にしたいという思いがあります。各チームに営業・企画
・デザイナー・プログラマーがいて、ときには競争しあい、ときには
協力しあえるような形です。

大きな成長が出来なかったのは、目先の仕事に追われ、会社の将来の
ために時間や頭の投資が出来なかったことが原因だと思います。

それから、社員にみんなが共感できる、ビジョンというか、志を見せ
られなかったこと。

これは今でも悩んでいます。

そもそもが「日本やインターネットの世界を○○○のように変えたい
から会社を立ち上げるんだ!」というな明確なビジョンを持って会社
を作ったのではなく、「独立するには今がチャンス!」という、悪い
言い方をすればなりゆきで作ってしまったために、後からビジョンを
持ち込むことに苦労しています。

     
  次の10年は何をしたいですか?
     
 

前述のように、もっと成長させたいと思っています。

そのために、直近でやることは、LogChaser の次期バージョンの開発
です。これはもう着手しています。現バージョンでは大規模サイトの
解析が難しいのですが、次期バージョンではこれが解決されるので、
ビジネスチャンスが大きく広がります。

他にもLogChaser を使った研究会を立ち上げました。これは主に販売
代理店向けですが、大勢の制作者を集めて、どのような Webサイトが
効果があるのかを研究していきたいと思います。

もう少し大きな視点でいうと、LogChaser に限らず、ログの解析とい
うのをもっと広めたいです。
解析をしている側からすると、皆さん、現在どのようにサイトが見ら
れているかも知らずに「注文が来ない」「資料請求が来ない」等と悩
んでいるのを見るともどかしいです。

例えるなら、闇夜の山道で懐中電灯を持たずに、頂上を目指している
ようなものです。

私たちは懐中電灯を持っているし、ほかの人に渡せるだけの懐中電灯
も用意できます。けれど、周囲の人は懐中電灯を使わずにつまずいて
いる。そんな気持ちなので、夜道を歩くときは懐中電灯があったほう
が良いですよ、ということを広めていきたいです。

そして、最後になりますが、結婚して子どもができました。
これからは自分のためだけでなく、家族のためにも頑張らなければい
けません。

「今日も子どものミルク代を稼ぐぞ!」という気持ちで、毎日出勤し
ています。

     
   

---[DATA]------------------------------
株式会社アクセント
代表取締役 阿川 道仁(あがわ みちひと)
http://www.accent.co.jp/

LogChaser 案内サイト
http://www.logchaser.com/

設立年月:平成10年6月
キープラネット入会:平成13年10月

出身地:東京都

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